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2011年8月23日 (火)

フィンランド特別支援教育視察(その4)

フィンランド特別支援教育視察(その4)
フィンランド特別支援教育視察(その4)
ユバスキュラの学校視察2日目。この日も午前中は3グループに分かれての視察でした。

他のグループは中学校でしたが、私が出かけたのは移民の生徒が多い小学校。相談業務をしていても最近国際結婚や外国籍のお子さんと会うことが出てきたため、フィンランドではどのような対応をしているか知りたくてこちらの学校を選びました。

この学校は8時から授業ということで9時前に伺ったら早速校長先生と授業アシスタント(フィンランドでは教職を持っていないけど専門のトレーニングを受けた人がアシスタントとして授業などに入ることがよくあります)が出迎えてくれました。
校長先生はスーツがよくお似合いの優しそうな方で、アシスタントはスウェーデン語のスタッフとして入っているそうです。

今回も校長先生による学校紹介から。最初の小学校でもそうでしたが、学校の指導方針や教育方針を説明し、そして学校の特色を話してくれます。フィンランドではco-operation(協調、協力)を重要な項目として位置づけているそうです。

またこちらの学校ではpoliteness(礼儀正しさ)も教育方針として掲げていました。フィンランドでは学校へ入る前に1年間プレスクールという小学校の準備教育を行う過程に児童の97%が通うこともあり、就学直後でも落ち着いて子どもたちが授業を受けているのが印象的でした。先生と生徒という関係をあらかじめ作ることでより教育がスムーズに行くシステムなのかもしれないと感じました。

他の学校へ行っても感じたのは子どもたちが大人に対して礼儀正しいこと。その分大人に対して無邪気な行動をすることが少ないとも思いました。同行した先生の中にはマジックなどを見せても子どもたちが引いてしまい、「子どもたちがこちらに反応してくれないー」と嘆いていた方も。

とは言え校長先生が子どもたちにちょっかいを出すとはにかみながらも嬉しそうにしていたり、休み時間などにディアボロでの技を決めてこちらが拍手すると次々と他の子どもたちも技を見せてくれるといった子どもらしい反応もあり、この辺りは一般家庭に遊びに行ったりするとまた変わるのかもしれません。

中学校へ行った人に聞くとやはり思春期になるせいか、生徒たちもおしゃべりが多くなって先生の言うことをすぐには聞かなくなるといった変化はあるそうです。休み時間もずっと外でおしゃべりしているそうですが、授業で課題になると皆静かになって集中していたとのことでした。

元々フィンランドは恥ずかしがり屋が多いということもあり(だから携帯電話が普及したんだ、というジョークもあるほど)、皆さん話しかけるととても親切に対応してくれますが、話しかけるまではお互いはにかんでいる状態。日本人とそんなところは共通点があり、親しみを持てました。

先生方は皆さんとても丁寧に対応して下さり、授業の教材などを見せてくれたり、子ども達に質問をさせたりと至れり尽くせりでした。先生方は皆さん英語が話せるので(フィンランドでは小学校3年生から英語を学ぶのだそうです)これはやはりメリットが大きいです。こちらも久しぶりに英語をずっと話す事になり、必死に思い出しながらやり取りしました。

あちこち案内してもらいましたが、私が印象的だったのは学校内の図書室でした。フィンランドでは読書教育も盛んだそうで、市の図書館司書が課題図書を選んで下さり、必ず年間6冊は読むことになっているとのことです。本が好きな子はさらにもっと読んでも構わないということで、たくさん読むと上位のお子さんは表彰されるのだそうです。

学校の図書室は子ども達に開放されていて本を借りることも積極的に推奨しているそうです。市の図書館とはオンラインで繋がっており、本を取り寄せることもできるとのことでした。フィンランドの教育では討論も大きな役割を果たしているそうなので、それを読書が下支えしている面もあるのかもしれません。

この日のお昼も学校の給食をご馳走になりました。校長先生や案内してくれた先生も同席したので、学校の様子などを食べながらあれこれ質問しました。P1000455

午後はユバスキュラ大学で講義。市の教育委員会の方などがいらして教育方針や特別支援教育の変遷などを話してくれました。フィンランドではインクルージョン(統合教育)について熱心に取り組んでおり、その一貫としてできるだけ地元の学校へ通うという流れになっているそうです。普通学級の子ども達ともできるだけ交流できるような配慮しているものの、特別支援クラスの固定級に在籍しているお子さんもいるし、色々な問題がある場合は特別支援学校という選択肢もあるとか。

PISAについての話もその後担当者から講義がありましたが、できるだけ落ちこぼれを作らない、学校間の差を作らない(=どこでも同じレベルの教育を受けられる)、成績上位の子と下位の子の学力の差を減らすことがフィンランドの成績の良さにつながっている、という話でした。

これは日本の流れとは正反対の動きで興味深かったです。とは言っても教員採用においては地域差があるのが現状で教育大があるユバスキュラ市は希望者が多く、ラップランドやフィンランドの中では治安の悪いヘルシンキの学校は希望者が少ないそうです。

その後は大学院の学生が最近問題になっているという怠学に関する話をしてくれました。フィンランドでは親は子どもを学校へ通わせる義務があるそうですが、それでも一定数の子どもたちが学校へ行かなくなることがあり、その中には特別支援の対象になっているお子さんもいるそうです。

フィンランドの場合は学校卒業後の職業指導などとも絡めてどうフォローしていくかという視点も怠学支援の中に入っており、「できるだけどこかに所属する」ことを念頭においた支援を意識している事がよく分かりました。

たくさん勉強した後は幾つかのグループに分かれて外に夕飯を食べに出かけました。ユバスキュラは大学町ということで若者が多く、バーやカフェでは大勢の若者がビールを飲みながらおしゃべりしていました。私たちはサーモンやスープなどをいただきましたが、他のグループはトナカイ肉にチャレンジしたとのこと。味付けはシンプルで乳製品が多めですが、比較的日本人の口には合っています。

フィンランドは消費税が高いこともあり(なんと22%。食品はもう少し低いです)、食べ物も野菜類は輸入しているものも多いため物価は日本に比べると高めですが量は多いので何人かで取り分けると色々食べられます。パンは食事を頼むとサービスで持ってきてくれます。ライ麦パンなど黒パンの種類が豊富です。

夕飯後はユバスキュラ大のKuorelahti先生と前日訪れた学校の副校長をされている奥様が来てくださったので、バーに集まって懇談会。講義ではよく分からなかった日本との違いを聞くことができました。

翌日は昔首都だったトゥルクへ向かい、そちらの特別支援学校へ見学です。

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